インビザラインで八重歯を治療した3つの事例と治療前に必要な事前知識

矯正治療で悩む古谷さん

八重歯が気になるけど、目立つワイヤー矯正は嫌だなあ・・・最近よく耳にするマウスピース矯正でも八重歯って治せるのかな?実際に治療した人がいるならその症例を見てみたいなあ。

歯科矯正医 柏先生

マウスピース矯正『インビザライン』を導入している当院では、多くの患者さんの八重歯矯正治療に携わってきました。

八重歯の程度によっては、部分矯正で治療できる場合もあるんですよ。

この記事では実際に八重歯治療をした症例を紹介すると共に、八重歯矯正治療をする前に知っておきたい事前知識も解説します。

この記事を読めば歯科矯正医院へ相談に行かなくても、八重歯矯正治療に必要な事前知識を手に入れられますよ!

では、見ていきましょう!

インビザラインで八重歯を治療した3例

ここでは、インビザラインで八重歯を治療した症例をご紹介します。

八重歯矯正治療といっても様々なパターンがあるので、ここでは3つの例を紹介します。

症例
  • 40歳女性
  • 19歳女性
  • 14歳女性

治療動機・来院回数・治療期間・料金・診断結果・治療計画なども説明しますので、ご自身の症状と照らし合わせながら見ていくとより治療が現実的になるかと思います!

40歳女性のインビザライン治療例

【Before】

【After】

 

年齢・性別 40歳・女性
治療動機 上下の前歯のガタつき(特に左右の八重歯)
治療期間 1年9ヶ月
来院回数 10回
治療計画
  • 抜歯なし
    抜歯をせずに八重歯が移動するスペースを作り出すことにしました。
  • 側方拡大
    スペース確保のために、インビザラインの全体矯正で歯列全体を側方に広げて、空いたスペースを利用することにしました。
治療費 90万円(税抜)

※施術の副作用(リスク):疼痛、咬合時痛、知覚過敏、歯根吸収、歯肉退縮が生じる可能性があります。

 

歯科矯正医 柏先生

『上下の前歯のガタつき』を主なお悩みとして来院されたこちらの患者さんですが、特に左右の八重歯を治したいとのことでした。

銀歯が多いことを理由にこれまで矯正治療を避けてきたそうですが、ご友人にインビザライン矯正なら問題なく治療できると勧められて来院してくださりました。

精密検査の結果、上顎に中等度、下顎に軽度の叢生を伴う症例という診断をさせていただきました。

既に虫歯治療で銀歯になっている歯が多いことや今後歯周病になってしまう可能性を考慮し、抜歯をせずに歯列を側方へ広げる治療を行うことにしました。

複雑な歯の動きを実現できるインビザライン矯正であれば、歯列全体をを側方に広げながら歯列を整えられるので効率的な治療ができます。

患者さんに口内ケアに力を入れていただいた上に、1日20〜22時間以上マウスピース装着を心がけていただいたので、特に問題なく上下の前歯のガタつきを治療することができました。

こちらの患者さんのように銀歯があると矯正ができないと考えてしまう場合がありますが、銀歯だけであれば問題なく矯正治療できます。

しかし、インプラント治療をした場合は矯正治療で歯が動かないので注意が必要になります。

インビザライン矯正治療に関する疑問や質問がある場合には、お気軽にご相談にいらしてくださいね。

 

19歳女性のインビザライン治療例

【Before】

【After】

年齢・性別 19歳・女性
治療動機 上下の前歯のガタつき(特に左上の八重歯)
治療期間 1年9ヶ月
来院回数 11回
治療計画
  • 抜歯なし
    歯の重なっている部分が少ないので、抜歯をしなくても八重歯を動かすスペースを作れると判断しました。
  • 奥歯の後方移動
    インビザラインは奥歯を後方に動かすことが得意な矯正方法で、今回は奥歯を後ろに動かし歯列全体に隙間を作る計画を立てました。
  • Eライン(横顔)を意識した前歯の配置
    歯が重なっている上に若干前歯が出っ歯気味だったので、歯列を整える際に前歯の位置を少し後ろに下げるように調整しました。
治療費 90万円(税抜)

※施術の副作用(リスク):疼痛、咬合時痛、知覚過敏、歯根吸収、歯肉退縮が生じる可能性があります。

 

歯科矯正医 柏先生

『上下の前歯のガタつき』を主なお悩みとして来院され、特に左上の八重歯が目立っていることを気にされていました。

また、歯列全体が少し前気味で、出っ歯気味な部分も気にされていました。

精密検査の結果、上顎に中等度、下顎に軽度の叢生を伴う症例と診断し、上下両方の歯列で歯が重なり合ってしまっている状態でした。

上顎は歯が重なっている部分が多かったので抜歯が必要かと思いましたが、親知らずをすでに抜いているためできるだけ健康な歯を残しておきたいというのが患者さんのご意見でした。

将来虫歯や歯周病で抜歯が必要になった場合を考慮して、なるべく健康な歯は多く残っていた方が良いのでできることなら抜歯せずに矯正されたいとのことでした。

幸いこちらの患者さんは親知らずが既に生えてない状態ですので、インビザラインで奥歯を後方へ動かして歯列全体を後ろに下げながら歯を並べるスペースを作ることができるので、抜歯をせずに治療することにしました。

少し前歯の突出感もあり出っ歯気味になっていたので、Eライン(横顔)も意識して歯列の位置を調節しました。

Eラインとは鼻先から顎までを結んだラインのことで、このライン内に上唇と下唇がおさまっていると綺麗な横顔と言われています。

治療完了後には歯並びが綺麗になっただけではなく、横顔も綺麗になったと大変喜んでくださいました。

インビザラインならこちらの患者さんのように健康な歯を残しながら歯列を整えることもできるので、他院で抜歯を求められた場合にはぜひ当院へご相談にいらしてくださいね。

 

 

 

14歳女性のインビザライン治療例

【Before】

【After】

 

年齢・性別 11歳・女性
治療動機 上下の前歯のガタつき(特に八重歯が気になる)
治療期間 1年10ヶ月
来院回数 12回
治療計画
  • 抜歯なし
    重なりが多かったのですが、患者さんのご希望でなるべく抜歯をしたくないとのことでしたので他の方法で歯を並べます。
  • IPR
    歯列にスペースを作るために、歯をヤスリでわずかに削って隙間を作ります。
  • 側方拡大
    今回は歯の重なっている部分が多かったので、IPRだけではなくインビザラインで側方へ拡大するようにしました。歯列全体を側方に広げることで、歯が並ぶスペースを作ります。
治療費 90万円(税抜)

※施術の副作用(リスク):疼痛、咬合時痛、知覚過敏、歯根吸収、歯肉退縮が生じる可能性があります。

 

歯科矯正医 柏先生

『上下の前歯のガタつき(特に八重歯が気になる)』を主なお悩みとして来院されたこちらの患者さんですが、精密検査を行い上下顎に中等度の叢生を伴う症例と診断しました。

叢生とは歯が重なり合って生えている状態で、こちらの患者さんの場合上下両方の歯列で歯が多く重なってしまっていました。

特に八重歯を気にされていましたが他にも重なっている歯があったので抜歯が必要かなと思いましたが、患者さんのご希望で抜歯をしないで治療を進めることにしました。

IPR(歯を削る)だけでは歯が並ぶスペースが確保できなそうだったので、歯列全体を側方へ拡大して歯が綺麗に並ぶためのスペースを確保しました。

最終的には歯列全体が綺麗に並び、噛み合わせも問題なく行えるようになりました!

部活動でバスケットボールをしているとのことだったので、試合の時に外せるマウスピース矯正がまさにぴったりの患者さんでした。

しっかり着用ルールを守っていただき、矯正中の口内ケアも完璧でしたのでスムーズに治療が完了いたしました。

 

八重歯矯正をインビザラインで行う前に必要な事前知識

ここでは八重歯矯正をインビザラインで行う前に必要な事前知識を説明します。

  • インビザラインでできる矯正治療
  • 八重歯で部分矯正できない症例がある
  • インビザライン矯正のリスク

八重歯矯正に関する事前知識がないまま歯科矯正医院を訪れてしまうと、色々と驚いてしまうことがあるかもしれません。

ここでは歯科矯正医院は相談へ行く前に読んでほしい内容をお伝えするので、ぜひ参考にしてみてくださいね!

インビザラインでできる矯正治療

まず、インビザラインでできる矯正治療について説明します。

インビザラインの施術方法は大きく分けて2つあり、種類によってかかる期間や費用が異なります

 

 

全体矯正 部分矯正
期間 2年〜2年半 1年未満
矯正範囲 全ての歯 前歯部分最大12本(上6本、下6本)
費用 80万〜100万円 30万〜60万円
抜歯 可能 不可

 

歯科矯正医 柏先生

八重歯の治療は全体矯正でも部分矯正でも行うことができます。

しかし、部分矯正は抜歯を伴う矯正治療ができない上に上下で最大12本しか歯を動かせないため、治療可能な症例が限られています。

皆さん費用や期間の面から部分矯正を希望されますが、実際に部分矯正で治療できるかどうかは医師にしか判断できません。

ご自身で決めつけるのではなく、まずは歯科矯正医院で相談してみましょう。

また、矯正を始めようと検討されている人はワイヤー矯正にはないインビザラインのメリットをぜひ知っておいてほしいです。

ワイヤー矯正と比較して日常生活に支障を及ぼす可能性が少ないのが特徴で、今まで通りの生活をしながら矯正できるのです。

 

インビザラインのメリット
  • 透明のマウスピースで目立たない
    ワイヤー矯正は取り外しができずに喋ったり笑ったりすると矯正器具が目立ってしまいますが、マウスピース矯正は気が付かれにくい上に万が一の場合には外しておくことができます。
  • 手軽に取り外しができる
    スポーツや行事などでどうしてもマウスピースをしていることが不都合な場合には一定時間の間なら外しておいても大きな問題はありません。
  • 好きなものを食べられる
    ワイヤー矯正はネバネバしたものや着色しやすい食べ物を避けた方が良いとされていますが、インビザラインでは食事の際はマウスピースを外すことになっているので特に食事の制限はありません。
  • 口内ケアがしやすい
    マウスピースは食事や歯磨きの際は自由に取り外しができるため、歯磨きがしやすくマウスピースも洗浄しやすいのが大きな特徴です。
  • 治療中のトラブルが少ない
    ワイヤー矯正であれば矯正器具が外れたり矯正装置の影響で口内炎ができたりするリスクがありますが、インビザラインはワイヤー矯正のようなトラブルの要因が少ないのです。
  • 来院回数が少なくて済む
    ワイヤー矯正は矯正器具の調節に月1回の通院が必要とされますが、インビザラインは2〜3ヶ月に1度の通院で問題ありません。矯正に必要なマウスピースは最初に配布されるので、あとは2〜3ヶ月に1度矯正の進み具合や口内トラブルの有無を医師がチェックするだけで良いのです。
矯正治療で悩む古谷さん

他の治療法に比べて来院回数が少ないことや治療中のトラブルも少ない点はインビザラインの大きな特徴なんですね!

八重歯で部分矯正できない症例がある

ここでは、八重歯の中には部分矯正できない症例があるということを説明します。

先ほど八重歯の矯正治療は全体矯正・部分矯正どちらも可能であるとお伝えしましたが、実際部分矯正は軽度の症例にしか対応できません。

部分矯正できない八重歯
  1. 八重歯以外の問題と併発
    八重歯以外の問題(出っ歯や噛み合わせ問題)が併発している場合には、全体矯正が必要になります。「部分矯正で八重歯だけ改善したい」と言われても歯列や噛み合わせの問題は単独で発生しているのではなく様々な要因が関係しているため、全体矯正で全ての歯列を動かさないと八重歯も改善できないのです。
  2. 前歯に3mm以上のスペースを作れない
    部分矯正で前歯にスペースを作る方法は歯を削るIPRのみですが、前歯のIPRを実施して得られるスペースは3mmほどが限界です。3mm以上のスペースが必要な場合には、抜歯や歯列拡大を伴う全体矯正が必要になるため部分矯正できないということです。
  3. 過蓋咬合(かがいこうごう)で噛み合わせが深い
    過蓋咬合(下の前歯が上の前歯の奥を噛んでいる状態)だと矯正後に歯が元に戻らないようにする保定装置を装着することが困難です。せっかく八重歯を矯正しても後戻りしてしまう可能性が高いので、過蓋咬合も全体矯正で治療することが必要になるのです。

 

歯科矯正医 柏先生

出っ歯や全体的な噛み合わせの問題などがある場合は全体矯正が必要になります。

また、部分矯正治療で作り出せるスペースは3mmに限られるので、3mm以上スペースが必要な場合も全体矯正が必要になります。

そして、過蓋咬合(かがいこうごう)で下の歯が上の歯茎のあたりまできてしまっている場合は、矯正治療後の保定装置が装着できません。

八重歯は後戻りしてしまう可能性が高い症例なので、全体矯正で過蓋咬合も合わせて治療する必要があります。

部分矯正できない症例に関してより詳しくご覧になりたい場合は、八重歯で部分矯正できない例を歯科矯正医が徹底図解を参照してくださいね。

インビザライン矯正のリスク

最後に、インビザライン矯正に潜むリスクをご紹介します。

インビザラインはルールをしっかり守って治療をすれば、痛みが少なくとてもスムーズに治療が完了する優れた矯正方法です。

しかし、治療計画の時点で不備があったり注意事項を無視したりすると矯正治療が失敗してしまうリスクがあります。

無事に矯正治療を成功させたい場合には、事前にインビザライン矯正のリスクを頭に入れておいた方が安心ですよ。

インビザラインに潜むリスク
  • 1日20〜22時間以上装着しないと治療計画が崩れる
  • 手術が必要な顎のずれは治療できない
  • 治療の質が歯科矯正医の経験・技術に左右されやすい

手術が必要な顎のずれは治療できないため、ご自身で自覚があるにも関わらず医師がインビザライン矯正を進めてきた場合には注意が必要です。

そして、インビザライン治療の成功を左右する治療計画は、それを作成する歯科矯正医の経験や技術によって大きく左右されます。

経験が少なく技術もまだ安定していない医師よりも経験豊富で技術のある医師がいる医院を選ばなければ、高い矯正効果を得られないリスクがあります。

 

まとめ

インビザラインで八重歯を治療した3つの事例をご覧いただき、いかがでしたか?

それぞれの症例によって治療期間や治療計画に違いがあることがお分りいただけたかと思います。

また、八重歯のインビザライン治療前に知っておきたい事前知識に関してもご理解いただけていると嬉しいです。

それでは、記事をおさらいしていきましょう!

 

八重歯のインビザライン治療に関するまとめ
  • 八重歯はインビザライン矯正で治療可能
  • インビザラインには全体矯正と部分矯正がある
  • インビザラインでは顎や正中のずれは治療できない
  • 八重歯は全体矯正・部分矯正どちらも適用症例
  • 実際は部分矯正できない症例の方が多い
  • インビザラインは経験のある医師がやらないとリスクがある
  • ルールを守ってこそ質の高い矯正効果がある

インビザライン治療は治療を担当する歯科矯正医の腕で左右されることもあります。

判断を誤ってしまうと、部分矯正では対応できないのに部分矯正をして最後に噛み合わせがうまく行かない場合もあります。

しかし、しっかりした治療計画のもと、ルールを守って矯正すれば高い矯正効果が得られるはずなので安心してくださいね。


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