
柏 英希
八重歯矯正の痛みに関する原因や対策方法を理解することができます。
また、ワイヤー矯正とマウスピース矯正による痛みの違いと対策についてもご紹介しています。
八重歯の矯正をご検討中の方は、その多くが痛みについて気になっていると思います。
「八重歯矯正は痛みを伴う」という話は、八重歯の矯正について調べたことがある人は、耳にしたことがあると思います。しかし、インターネット検索をしてみても、いつ痛みが出るのか、どうして痛みが出るのかなどを細かく丁寧に解説している記事は意外と少ないものです。
痛みを感じるタイミングや原因を知っておけば、対策することができます。八重歯の矯正治療を検討されている方は、ぜひご参考にしてみてください。
本記事では、八重歯を矯正する際に痛みが出るタイミングや原因、または対策方法などを解説していきます。
八重歯矯正で痛みを感じるタイミング

八重歯矯正で痛みを感じるタイミングを知るに当たって、前提として知っておきたいのは八重歯矯正には2つの矯正方法があるということです。
- ワイヤー矯正
- マウスピース矯正
それぞれの方法によって特徴はありますが、痛みを感じるタイミングは主に共通して以下の3通りです。
- 矯正装置を調節してすぐのとき
- 食事をしているとき
- 口の中が炎症したとき
この章では、ワイヤー矯正、マウスピース矯正の両方に共通して痛みを感じるタイミングを詳しく説明していきます。
では、早速一つ目から見ていきましょう。
矯正装置を調節してすぐのとき
八重歯矯正では、矯正装置を調節してすぐのときに痛みを感じることがあります。
この時に感じる痛みは以下のようなものです。
- 歯がゆい感じ
- 窮屈な感じ
- ズキズキした感じ
矯正は方法によって器具の調節の仕方やタイミングは異なり痛みの具合も変わりますが、どちらも器具を調節してすぐは痛みが出ることが多いです。
- ワイヤー矯正:通院した際に歯科矯正医が調整
- マウスピース矯正:およそ7日ごとに新しいマウスピース(既に調節済)へ交換
マウスピース矯正は頻繁に器具を調節していくことで、歯にかかる負担や痛みが分散されるため一度に強い痛みを感じることはほぼありません。
しかし、ワイヤー矯正は1カ月に1度通院した際にしか器具を調節できないため、一度の調節で歯に強い力を加えます。
ワイヤー矯正では一度に歯に多くの負担をかけることになるため、器具を調節した後の痛みがかなり強くなるのです。
食事をしているとき
また、八重歯矯正では食事をしているときに痛みを感じることもあります。
- ワイヤー矯正 … 装着したまま食事
- マウスピース矯正 … 外して食事
ワイヤー矯正は矯正装置をしたまま食事をしますが、マウスピース矯正ではマウスピースを外して食事をすることが可能です。
しかし、どちらの場合も食事でものを噛んだときに歯や口の中に痛みが出ることがあります。
口の中が炎症したとき
そして、八重歯矯正では口の中が炎症したときにも痛みを感じることがあります。
矯正はワイヤー矯正にしてもマウスピース矯正にしても、どちらも口の中に常に異物が入っている状態になるため、口の中で以下のような炎症が発生し痛みが生じるリスクが伴います。
- 口内炎
- 切り傷
- すり傷
もちろん医学的に安全に注意して製作されている矯正器具ではありますが、万人にトラブルが起こらないよう完璧に対応しているわけではありません。
口の中に常に矯正器具を入れておくことにはさまざまなリスクが伴うことは事実であり、仕方がないことだと言えます。

柏先生
八重歯矯正で痛みを感じるタイミングをご覧いただき、いかがでしたか? いつ痛みが生じる危険があるのか分かると少し安心しますよね。
しかし、痛みが出ないように対策するのが1番で、対策は痛みの原因を知ることから始まります。
次は八重歯矯正で痛いと感じる原因を解説していきますので、痛みに対策したい人は必見ですよ。
では、見ていきましょう。
八重歯矯正で痛いと感じてしまう原因

この章では、八重歯矯正で痛いと感じてしまう原因を解説いたします。
ポイントは下記の3つです。痛みの原因を知ることは痛みを抑える対策にもつながるので、ぜひ覚えておきましょう。
- ワイヤー矯正時
- マウスピース矯正時
- その他の場合
ワイヤー矯正時の痛みの原因
はじめに、ワイヤー矯正で生じる痛みの原因を説明します。
- 歯への矯正力が強い
- 動いていて不安的な歯でものを噛む
- ワイヤーが口の中ですれて口内炎ができる
① 歯への矯正力が強い
ワイヤー矯正の場合、1カ月に1度通院してワイヤーの矯正力を調節します。
1カ月で歯が動く最大距離は1mmで、ワイヤー矯正の場合は1回の調節で歯が1mm動くようにしなければなりません。
マウスピース矯正であれば、およそ7日ごとに患者自身がアライナーを交換して歯を動かしていきますが、ワイヤーの調節は医師にしかできません。
1カ月に1度しか調節できないため、一度の調節で歯に強い矯正力をかける必要があり、強い痛みを引き起こすのです。
② 動いていて不安的な歯でものを噛む
歯は矯正力がかかって移動するのですが、力が加わることによって歯槽骨内で骨の吸収や骨の作成が行われ不安定な状態になります。

その移動中に食べ物を噛むことでさらなる刺激が歯に加えられると痛みの原因となるのです。
③ ワイヤーが口の中ですれて口内炎ができる
ワイヤー矯正ではワイヤーやブラケット(歯に装着しワイヤーを通す部分)が口の中で粘膜を傷つけることによって、口内炎ができるケースが多く見られます。

矯正器具が粘膜を傷つけることで突出し、腫れや痛みが生じてしまうのです。
マウスピース矯正時の痛みの原因
次に、マウスピース矯正で生じる痛みの原因を説明します。
- アライナーを交換すると馴染むまで少し時間がかかる
- 動いていて不安的な歯でものを噛む
- アライナーが研磨不足で歯茎に当たる
① アライナーを交換すると馴染むまで少し時間がかかる
マウスピース矯正であってもアライナーを交換してすぐの時は歯に圧力がかかり、痛みの原因になることがあります。
特に1日20時間以上という装着時間を守っていなかった場合は、歯が予定通り動いておらず次のアライナーに交換すると強い痛みがでるケースもあります。 一枚のマウスピースで動かせる歯の移動距離は最大およそ0,25mmでありながらも歯に痛みが出ることがあるのです。
② 動いていて不安定な歯でものを噛む
矯正中はマウスピース矯正でも歯が不安的な状態になります。
歯に圧力を加え一定方向に動かそうとしている時は、歯茎の中で歯が不安定になっています。
不安的な状態で硬いものを噛んだり何も気にせず食事をしたりすると、歯にものが当たった際に痛みがでることがあります。
③ アライナーが研磨不足で歯茎に当たる
マウスピース矯正に使用されるアライナーの角が研磨不足の場合、角が粘膜を傷つけ痛みが生じることがあります。
矯正に使用するアライナーは細心の注意を払って製作されていますが、中には研磨が足りていないアライナーも存在します。
研磨が足りていないと口の中の粘膜を傷つけてしまう原因となり、痛みが生じてしまうのです。
その他の場合による痛みの原因
最後に、その他の場合による痛みの原因を紹介します。
- 抜歯によってもたらされる痛み
- 矯正中に虫歯・歯周病になる
① 抜歯によってもたらされる痛み
八重歯矯正は、ワイヤー矯正にしてもマウスピース矯正であっても、抜歯を伴うケースも少なくありません。
八重歯を歯列に綺麗に並べるためには第一小臼歯を抜歯するケースが多く、左右で一本ずつ抜いて合計2本抜歯することになります。
多くの人は抜歯した部分の炎症がおさまり痛みを感じなくなるまで、数日はかかります。
また、歯を抜いた部分の傷口が閉じて通常の歯茎に戻るまでは食事や歯磨きの際に注意しないと、再び傷つけてしまい強い痛みの原因となる場合があります。
② 矯正中に虫歯・歯周病になる
矯正中に虫歯や歯周病になり歯に痛みがでる場合もあり、特にワイヤー矯正に多く発症します。
その理由は、マウスピース矯正は取り外して口内ケアや矯正器具の洗浄が可能ですが、ワイヤー矯正は取り外して口内ケアができないという点にあります。
器具を装着したまま食事をすることで歯と歯の間や歯と器具の間にプラークがたまりやすくなり、歯磨きなどの口内ケアで取り除けない場合があります。
矯正期間中にうまく口内ケアができないと虫歯や歯周病になってしまうと、矯正ではない歯の痛みがでてしまう場合があるのです。
八重歯矯正で痛みを抑える対策

最後の章では、八重歯矯正で痛みを抑える対策をお伝えいたします。
- 矯正を始める前の対策
- 矯正中の基本的な痛み対策
- ワイヤー矯正中の痛み対策
- マウスピース矯正中の痛み対策

柏先生
痛みが出ないように最初から対策していくのが最善ですが、矯正の途中で突如痛みが出てきたという人もいるかと思います。
ここでは、矯正の段階に合わせて痛みを抑える対策を解説していくので、ご自身に適した対策を探して見てください。
矯正を始める前の対策
矯正を始める前の痛み対策は以下の2つです。
- 自分に適している矯正方法を知る
- 経験・技術のある医師を選ぶ
① 自分に適している矯正方法を知る
矯正期間・費用・方法・通院回数などは矯正方法によって異なり、痛みのタイミングや度合いにも差があります。
痛みに弱いという自覚がある場合は、より痛みが分散されるマウスピース矯正を選ぶべきです。
マウスピース矯正であれば一度に強い痛みを感じることはほぼなく、器具で口の中が炎症するリスクも低いです。
先に矯正方法を決めるときに医師に痛みに弱いことを伝え、ワイヤーではなくマウスピースでの矯正を検討してほしい旨を伝えておくのが安心ですよ。
② 経験・技術のある医師を選ぶ
矯正治療は治療計画を立てる医師の技量によって治療や仕上がりに差が出ます。
どうせ矯正治療をするのであれば、なるべく痛みを感じることなく、綺麗な噛み合わせ・歯列の並びを手に入れたいですよね。
経験が少なく技術的に不安の残る医師ではなく、治療経験が豊富な歯科矯正医を選びましょう。
もし治療中にトラブルが起こってしまった場合、経験豊富な医師であれば以前に同じトラブルを抱えた患者さまを担当した経験があるかもしれないので、的確なアドバイスをしてくれる可能性が高いでしょう。
矯正中の基本的な痛み対策
矯正をしている最中の基本的な痛み対策は以下の4点です。
- 口内ケアの徹底
- 食事に注意
- 歯茎をやさしくマッサージ
- 限界がくる前に痛み止めを服用
ここではワイヤー矯正とマウスピース矯正など矯正方法に限定せず、矯正期間中に痛みが出ないようにする対策、または痛みが出てしまった場合の対策を紹介します。
① 口内ケアの徹底
矯正期間中は普段よりもより一層口内ケアに力を入れる必要があります。
矯正期間中に虫歯や歯周病になってしまった場合、そちらの治療を優先しなくてはならない場合があるためです。
虫歯・歯周病治療が優先されることで矯正治療が進まなくなってしまうと身体的・精神的ストレスも増えますよね。
最短で矯正治療を終えるためには、トラブルを避けるためにしっかり口内ケアを実施し続けるべきです。
マウスピース矯正の場合は取り外して歯磨きをしたり、マウスピースの洗浄ができるのであまり不安はありませんが、ワイヤー矯正の場合は念入りに歯磨きをしたりデンタルフロスをする必要があります。
口内ケアに不安がある場合は、歯科矯正医に正しいやり方を相談してみてください。
② 食事に注意
矯正期間で痛みの原因となることが多い食事には注意が必要です。
- 柔らかい食べ物をチョイスする
- ゆっくり噛む
これに気をつけるだけでも、痛みを出さない対策になります。
矯正中で歯が不安的な状態なのに関わらず、普段と同じスピードでものを噛んだり固いものを噛んだりするのはリスクがあります。
なるべく歯に優しい食事をすることで、痛みを抑える対策になります。
③ 歯茎を優しくマッサージ
矯正していると器具を調節した際や何気ない時に歯が痛むことがありますが、その際は指や歯ブラシで歯茎を優しくマッサージしてあげましょう。
痛みが出て放っておくのではなく、優しく押してあげることで血流が良くなり痛みが少し楽になることがあります。
痛いからといってグイグイと力任せに押すのではなく、優しくやることがポイントです。
④ 限界が来る前に痛み止めを服用
矯正期間中の多少の痛みは仕方がないことで放っておいても問題はありませんが、痛みが強すぎてどうしようもできないという場合には痛み止めを服用することも可能です。
我慢比べではないのですから、痛みが限界に達する前に痛み止めを服用することで痛みを抑えましょう。
痛みが苦手な場合や痛みが多く出ている場合は、歯科矯正医に相談すれば痛み止めを処方してくれます。
矯正の治療効果を妨げることのない薬を服用すべきなので、ご自身で購入した市販の痛み止めではなく病院で処方してもらった薬を服用しましょう。
ワイヤー矯正の痛み対策
ここでは、ワイヤー矯正中の痛みを抑える対策をここでお伝えいたします。
- 歯科矯正用粘膜保護剤を使用
- 口腔用軟膏や口腔内粘膜貼付剤を使用
① 歯科矯正用粘膜保護剤を使用
ワイヤー矯正では矯正をしていくにあたり歯が移動していくと、ブラケットやワイヤーが口内で粘膜を傷つけるリスクも上がっていきます。
矯正医にしか取り外しができない装置なので、以下の粘膜保護剤を使用して痛みが出ないように抑えるしかありません。

②口腔用軟膏や口腔内粘膜貼付剤を使用
もし口内炎などができてしまった場合は、口腔用軟膏や口腔内粘膜貼付剤を使用して炎症をそれ以上広げないようにしながら痛みを最小限に抑えます。
炎症部分に軟膏を塗ったり、炎症に貼り付けて口内炎の部分を保護したりすることが可能です。
しかし、これは一時的に痛みを抑える対策ですので、もし痛みが強いようならなるべく早く歯科医師に相談し、痛みの根本的な原因を取り除いてもらうことが必要です。
マウスピース矯正中の痛み対策
最後にマウスピース矯正中の痛み対策をお伝えいたします。
- チューイーを使用して装着
- 紙やすりで削る
- ひとつ前のマウスピースに戻す
①チューイーを使用して装着
マウスピースを装着する時は、チューイーを使用して装着する癖をつけることが痛みの発生を抑える対策です。

馴れてくると歯でカチッとはめてしまう人も多いと思いますが、チューイーを利用しないとしっかり奥まではまらないことがあります。
奥まではまっていない状態で装着すると、狙っていた矯正効果を100%得られないどころかアライナーが歯茎など周りの粘膜を傷つけてしまうリスクを伴います。
痛みを避けるためにも、毎回チューイーを使用してアライナーを正しく装着する必要があるのです。
②紙やすりで削る
マウスピースは細心の注意を払って製作されていますが、中には研磨不足で口の中の粘膜を傷つけてしまうマウスピースもあります。
その場合は患者さん自身が、紙やすりで気になる部分を削ることで痛みを抑えることができます。

③ひとつ前のマウスピースに戻す
マウスピースは、装着時間が足りていない場合は歯が狙い通り動かないので、次のアライナーに交換した場合に強い痛みがでることがあります。
その場合はひとつ前のアライナーをもう数日装着してから、新しいアライナーに交換することで痛みが和らぐことが多いです。
しかし、一つのアライナーの装着日数が増えれば増えるほど矯正期間も伸びてしまうので、1日20時間という装着時間を守って計画通りに矯正を進めましょう。
計画通りに歯が動けばアライナー装着によって生じる痛みは最小限で抑えられますよ。
この記事のまとめ

柏 英希
- 痛みを感じるタイミングはだいたい決まっている
- 矯正方法によって異なる痛みの原因がある
- ワイヤー矯正は特に矯正器具調節後に強い痛みあり
- 矯正で歯が動いている期間は食事に要注意
- 痛みに弱い人にはマウスピース矯正がおすすめ
- 痛みやトラブルが心配なら経験・技量のある歯科矯正医を選ぶ
- 限界が来る前に痛み止めを服用するべき
八重歯矯正で痛みを抑える対策をご覧いただきいかがでしたか? マウスピース矯正はワイヤー矯正より痛みが少ないとされていますが、それでも痛みがなるべく発生しないようにできる限りの対策をしておくべきです。
もっと言えば、痛みが苦手な場合には最初からマウスピース矯正を選んでおいた方が安心ですよね。
痛みが出てくる原因を理解しておけば、いざ八重歯矯正で痛みが出てしまった場合に迅速に対応できるのではないでしょうか?
これから八重歯矯正を検討している人は、まず経験・技量のある医師がいる医院を探すことからですから、お近くの歯科矯正医院へ相談に行ってみてください。