
柏 英希
結婚式前に矯正治療を終えたいと考える人が知っておくべきポイントを理解することができます。
歯科矯正に必要な期間や、式までに終わらなかった場合の対処法。また、ブライダル矯正に最適な矯正方法も併せてご紹介しています。
人生最大のイベントであると言っても過言ではない結婚式。女性はもちろんですが、男性も最高の笑顔で迎えたいという人は多いはずです。
結婚式をきっかけにした歯科矯正は「ブライダル矯正」と呼ばれ、歯並びを治すことタイミングとしては比較的ポピュラーなもの。当院にもブライダル矯正でご相談に訪れた方は、数多くいらっしゃいます。
本記事では、ブライダル矯正で気になるポイントをご紹介していきます。
ブライダル矯正をする際に気になるポイント

式を控えた新郎・新婦が歯科矯正を考える場合、特に気になるのは下記の4つでは無いでしょうか?
- 歯科矯正に必要な期間
- 結婚式までに治療が完了するかどうか
- 結婚式までに治療が完了しなかった場合はどうすればよいか
- ブライダル矯正に最適な方法
それぞれを詳しくご説明していきます。
歯科矯正の必要な期間


柏先生
結婚式までに歯並びを治したいと考えるのであれば、歯科矯正のご相談は早いに越したことはありません。
歯科矯正にかかる期間は、矯正の範囲と症例によって大きく異なります。
- 部分矯正:3カ月~1年
- 全顎矯正:1年~3年
部分矯正
部分的に歯の矯正を行う方法
全顎矯正
すべての歯を矯正する方法
最短で3カ月、長いと3年ほどかかることになります。
余談ですが、交際から結婚までの平均期間は3.4年(3年4カ月~5カ月)という統計が出ています。
結婚までの平均交際期 「ゼクシィ結婚トレンド調査2023(全国推計値)」では、付き合い始めてから結婚するまでの期間は、2~3年未満が「23.2%」と最も高く、次いで1~2年未満が「22.1%」、3~4年未満が「18.1%」。付き合い始めてから結婚するまでの期間の平均は3.4年間という結果に。
情報を整理すると…
- 歯科矯正にかかる最短期間:3カ月
- 歯科矯正にかかる最長期間:3年
- 交際から結婚までの平均期間:3.4年(3年4カ月~5カ月)
ということになります。
結婚式までに矯正治療が完了するかどうか


柏先生
パートナーがいる方もそうでない方も、ご自身の結婚式を最高の笑顔で迎えたいと考えるのであれば、矯正治療の開始は早いに越したことはありません。
前章を参考にすると、「歯科矯正を終える3カ月後に結婚式を挙げたい」は現実的な話かと思います。しかし、「歯科矯正を終える3年後に結婚式を挙げたい」は、パートナーからの不満が出るに違いありません。
結婚式までに矯正治療が完了するかのポイントは、下記の2つです。
- 挙式はいつか
- ご自身の歯並びを治療するのに要する期間はどのくらいか
挙式の日取りについては、歯科医師である私が口を挟めることでは無いので割愛し、「ご自身の歯並びを治療するのに要する期間」についてご説明いたします。
前章で触れた通り、歯科矯正には「部分矯正」と「全顎矯正」があります。
部分矯正は短期間で治療が完了することが多く、全顎矯正は治療期間が長くなります。それならば、誰もが「私は部分矯正にします」と言いたいところですが、そのような訳にはいきません。
症例によって、部分矯正できるものとできないものがあります。
- 軽度の出っ歯
- 軽度の叢生(そうせい)
- 軽度のすきっ歯
- 前歯部分の軽度な歯のねじれ
叢生
歯並びがガタガタしている症例
- 抜歯の必要がある
- どの症例においても重度の場合
- 歯全体の噛み合わせに問題がある
- 前歯のスペースが3mm以上不足している
2022年の統計では、初婚の平均が男性31.1歳、女性29.7歳となっています。
人口動態調査の結果によれば、男女ともに日本の初婚年齢は上昇を続けている。ここ数年でおおよそ頭打ちになったという感がある程度。直近2022年では男性31.1歳、女性29.7歳。
ですが、もちろん結婚のタイミングは人によって違います。統計を鵜呑みにして「初婚の平均年齢 – 3年 = 歯科矯正開始のタイミング」と計算するわけにもいきません。
パートナーがいる方もそうでない方も、ご自身の結婚式を最高の笑顔で迎えたいと考えるのであれば、矯正治療の開始は早いに越したことが無いと言えそうです。
結婚式までに治療が完了しなかった場合はどうすればよいか


柏先生
矯正の方法がインビザラインならば、患者さまご自身で取り外すことが可能なので、矯正装置を付けたまま結婚式を迎える心配はありません。
晴れの結婚式、歯に矯正装置を付けたまま迎えることは誰しもが避けたいことでしょう。ですが、原則として歯科矯正の装置は取り外しが可能なので、あまり心配されなくてもよさそうです。
注意しておきたいのは、歯科矯正の種類によっては、矯正装置の取り外しの方法が異なるということです。
矯正装置 | 概要 |
ワイヤー矯正![]() | 歯に装着したブラケットと呼ばれる器具にワイヤーを通し、動かしたい方向に向かって歯に適切な力を加え、徐々に歯を移動させることで歯並びをよくする矯正治療法。 |
インビザライン![]() | はじめに光学3Dスキャンで口腔内を撮影し、数十枚の透明なマウスピースを作成。約7日ごとに、前回よりも少し理想の歯列に近い形状のマウスピースへ交換することで、徐々に歯並びを整えていく矯正治療法。マウスピース矯正の一種。 |
ワイヤー矯正の取り外し
ワイヤー矯正は多くの方が「歯科矯正」と聞いて連想する、最もポピュラーな矯正方法。歯の表側に金属のワイヤーが付いているものです。
ワイヤー矯正の装置を取り外すためには、歯科医院に足を運ぶ必要があるため、多少の面倒があります。また、別途費用がかかるケースが一般的です。
当然ですが、歯の表側に矯正装置を付けたままの挙式はお勧めできません。
インビザライン(マウスピース矯正)の取り外し
インビザラインは透明な樹脂素材で作られた、マウスピース型の矯正装置です。
ワイヤーとは違い、患者さまご自身で矯正装置を取り外すことが可能です。正しい治療の流れとしても、食事中には取り外すことが推奨されています。
インビザラインを付けたまま結婚式に臨むことはお勧めしませんが、遠目に撮影した写真などでは、矯正装置を付けているかどうか判別できないほどに目立たないものとなります。
ブライダル矯正に最適な矯正方法


柏先生
ブライダル矯正にお勧めの矯正方法は、圧倒的にインビザライン(マウスピース矯正)です。
また、「いつまでにどのような歯並びにしたいか」といった患者さまの要望をしっかりと聞いてくれて、目標を達成するために頭を悩ませてくれる歯科医師を選ぶことも、非常に重要です。
通常の歯科矯正もブライダル矯正も、「歯並びを治す」ことに変わりはありません。ですが、ブライダル矯正の場合は、より審美性を優先して治療方針を決めることがあります。
一般的に、歯科矯正は噛み合わせの改善も考慮して治療計画を作ります。ただし、噛み合わせを考慮すると治療期間が長くなりがちです。多くの場合、ブライダル矯正はお顔のビジュアルに重きを置くため、前歯などの正面から見える歯並び改善を優先して治療計画を立てるケースがあります。
また、審美を目的とするブライダル矯正の場合、ホワイトニングを併用するケースも少なくありません。
これらを踏まえ、ブライダル矯正で選ぶべき矯正方法のポイントを下記の3点から考えてみたいと思います。
- 取り外しのしやすさ
- 治療計画の確実性と透明性
- ホワイトニングとの併用
取り外しのしやすさ
前章でも触れましたが、ワイヤー矯正とインビザライン(マウスピース矯正)の取り外しのしやすさを比較しました。
矯正装置 | 取り外しの方法 | 取り外しの費用 |
インビザライン![]() | 患者さまご自身で取り外し | 無料 |
ワイヤー矯正![]() | 歯科医院を受診して医師が取り外し | 一般的には有料(1本3,000円程度) |

柏先生
「もしも結婚式までに歯の矯正が終わらなかったら…」と考えると、矯正装置の取り外しは簡単な方がよいので、本項はインビザラインに軍配が上がります。
治療計画の確実性と透明性
続いては治療計画の確実性と透明性について。それぞれに見ていきましょう。
治療計画の確実性
まずは治療計画の「確実性」について。
確実性ついては、インビザラインかワイヤー矯正かではなく、歯科医師の技量によるところが大きいと言えます。
たまに「インビザラインは治療できない症例が多い」という話を耳にしますが、これははっきり間違いと言えます。基本的にワイヤー矯正で治療できる症例は、インビザラインでも治療が可能です。
技術が高く経験豊富な医師の選び方ですが、まずは「一般歯科」か「矯正歯科」で選別をしてください。
一般歯科は、主に虫歯や歯周病の治療を行う歯医者さん。矯正歯科は、歯並びの矯正を専門に行うクリニックです。
当然、矯正歯科の方が歯並びの治療に対する知見や経験が深いことが多いので、歯科矯正をする場合は「矯正歯科」を選ばれることをお勧めします。
その他の選定基準としては、症例数や経験年数、医院の口コミなどが挙げられます。
症例実績が多数あって経験年数が豊富、かつ良い口コミがたくさん書かれている医院さんならば、100%とは言えませんが、質の高いクリニックの条件をクリアしている可能性は十分にあるでしょう。
治療計画の透明性
続いては治療計画の「透明性」について。
どちらで歯並びの矯正をするにしても、はじめにレントゲン撮影などをして治療計画を立てることは同じです。
しかし、この「治療計画」にこそ大きな違いがあり、治療の透明性を分ける要因となります。
ワイヤー矯正の場合、治療を開始してからは約1カ月間隔で通院し、歯の動き具合をチェックします。事前に作成した治療計画通りに歯が動いているかを見ながら、矯正装置を調整していきます。
一方インビザラインの場合、治療前に作成する治療計画(クリンチェック)自体が歯並びのシミュレーション映像になっています。
例えば3カ月後の歯並び、6カ月後の歯並び、矯正治療完了時の歯並びなど、治療前に映像として確認することが可能になっているため、治療計画の透明性としては非常に優れていると言えるでしょう。
インビザラインの場合も通院してのチェックは必要ですが、来院の期間は2カ月に1回ほど。治療計画通りに歯が動いているかを確認し、インビザライン矯正装置の調整を行います。

柏先生
治療の確実性は引き分け、透明性はインビザラインが優れていると言えそうです。
ホワイトニングとの併用
歯科矯正中のホワイトニングは、ワイヤー矯正は一部不可で条件により可能、インビザラインはすべて可能となります。
矯正方法 | オフィス ホワイトニング | ホーム ホワイトニング |
インビザライン (マウスピース矯正) ![]() | 可能 | 可能 |
ワイヤー矯正 (表側・金属) ![]() | 不可能 | 不可能 |
ワイヤー矯正 (表側・審美) ![]() | 不可能 | 不可能 |
ワイヤー矯正 (裏側・フルリンガル) ![]() | 可能 | 不可能 |
ワイヤー矯正 (ハーフリンガル) ![]() | 不可能 | 不可能 |
インビザライン
透明なマウスピースを歯に付けて歯列を矯正する方法。マウスピース矯正の一種。
表側矯正
ワイヤー矯正の一種で、歯の表側にブラケットと呼ばれる四角い装置を取り付け、ブラケットにワイヤーを通す最もオーソドックスな歯の矯正方法。
裏側矯正
歯の裏側にブラケットとワイヤーを通す歯科矯正の方法。ワイヤーが目立たず、歯の矯正をしていることが目立ちにくいという利点がある。
フルリンガル矯正
裏側矯正の一種。上下すべての歯の裏側にブラケットを装着し、ワイヤーを通して歯を移動させる方法。
ハーフリンガル矯正
上の歯は裏側に、下の歯は表側にブラケットとワイヤーを装着し、歯を移動させる方法。
オフィスホワイトニング
歯科医院で行うホワイトニング。
ホームホワイトニング
ご自宅で患者さま自身が行うホワイトニング。
インビザラインは、オフィスホワイトニングもホームホワイトニングも可能です。
表側のワイヤー矯正はホワイトニングできません。ブラケットが邪魔をしてホワイトニングの薬剤の効果が均一で無くなるためです。
裏側のワイヤー矯正は、フルリンガルであればオフィスホワイトニングのみ可能です。ハーフリンガルの場合、下の歯には表側にブラケットとワイヤーが取り付けられているため、ホワイトニングはできません。

柏先生
歯の矯正とホワイトニングの併用を希望される方は、インビザラインを選ばれることをお勧めします。
この記事のまとめ

柏 英希
- 歯の矯正には3カ月~3年ほどかかる
- 結婚式までに歯科矯正が終わるかどうかは、挙式の日取りと歯並びの状況によって変わる
- ブライダル矯正の相談は早い方がよい
- 結婚式までに歯科矯正が終わらなかった場合、インビザラインならば簡単に取り外して式に臨むことができる
- 結婚式までに歯科矯正が終わらなかった場合、ワイヤー矯正は事前に歯医者さんで取り外してもらう必要がある
- 取り外しのしやすさ、治療計画の透明性、ホワイトニングと併用できるなどの理由から、ブライダル矯正に最適な矯正方法はインビザライン
結婚式に向けた「ブライダル矯正」に関する内容、いかがでしたでしょうか?
結婚は人生の一大イベント。最高の笑顔で迎えたいものですね。